(日本語圏の皆様には、耳新しい話でもないかもしれませんが、併記します。先に英語で書いた内容を日本語でなぞっています。)

空疎な首都で吹く讃歌(ラウダティオ)

日本でのコロナウィルス対応状況は、2月下旬に激変しました。私は2月20日にリサイタルを開催しましたが(そこで、他の作品に加え、ローレンス・ロウのアースソングズを日本初演しました。その録音も私のYouTubeチャンネルにあります)、その週は、主に演奏家来日困難のための多少の演奏会中止はあったものの、それほど深刻な状況とは捉えていませんでした。首相が大規模なイベントの自粛を要請した26日が大きな転換点で、3月第2週までには殆どの演奏会が中止となりました。びわ湖ホールの記念碑的「神々の黄昏」のプロダクションを含め、いくつかの無観客ライブ配信コンサートは行われていましたが、演奏者の密集自体が問題視され、それすら先細っていきました。

舞台芸術公演が迅速に、かつ従順に休止に向かった一方で、政府はその他の経済活動に制限を課すことには消極的でした。オフィス勤務者の大半は、悪名高い満員の(かつ時間通りの)電車に乗って通勤を続けていたし、4月中旬の今も続けています。ついでに言えば、私が応募していたふたつのオーケストラ・オーディション(東京ではありませんが)も、予定通り開催されました、適正な「社会的距離」とアルコール消毒液の配慮とともに…

kasahara laudatio

オリンピック・パラリンピックの延期が正式に発表された3月24日まで、首相も都知事も、外出自粛を明確に呼びかけてはいなかったと言えます(この話はまだありますが、あまり政治的になるのでここでは)。

このクロル「ラウダティオ」の動画を撮ったのは、4月7日、首相が大都市に緊急事態を宣言した日で、前日に予告がありました。この日の合わせ予定が中止になったので、この時間を活用して、この曲の動画を撮ろうと思ったのです(IHS52のソロコンクール課題のこの曲を持ってきた生徒のレッスンのため、3月半ばに自分でもこの曲をさらいなおしていました)。渋谷は、決して無人ではありませんでしたが、どこか違ってはいました。普段より少ないものの、仕事に来る人は大勢。本当に緊急事態?どうでしょう。確かなのは、この内閣は、感染に正面から対応するより、ウィルスを、そして五輪延期すらをも利用して、無数のスキャンダルや経済失策、感染初動対応のお粗末さを有耶無耶にするのに忙しそうだ、ということでした(結局政治の話に…)。

ともかく、この荘厳で感動的な音楽が、この日の非現実感とよく合っている気がしました。

みなさん、おうちで安全に、そしてホルンの音で隣人を悩ませましょう!

笠原 慶昌

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